蓄電池の容量は何kWh?電気の明細で決める3ステップと「12kWhの壁」

蓄電池の容量は何kWhが正解?夜の買電と太陽光の余りで決める

更新日:2026年10月24日/一次情報の確認日:2026年10月24日

1日あたり約10.7kWh。

環境省の調査で、全国の1世帯が1年間に使う電気は3,911kWh(令和5年度)です。365日で割ると約10.7kWh。関東甲信では3,600kWhで、1日あたり約9.9kWhです。

この数字を見て「なら10kWhの蓄電池が必要」と考えるのは早すぎます。蓄電池がまかなうのは1日の全部ではなく、太陽光が発電していない時間の分だけだからです。そして、ためられる量は太陽光の「余り」で頭打ちになります。

【結論】蓄電池の容量は「夕方から翌朝までに買っている電気の量」と「太陽光の余り(売電量)」の小さいほうに合わせるのが基本です。どちらも電気の明細や電力会社の会員サイトで確認できます。東京都の助成は1kWhあたり10万円で、DR実証に参加しない場合の上限は120万円のため、12kWhを超えた分は都の助成が増えません。

確認したいこと答え(2026年10月時点)出典
家庭の電気使用量の平均は?全国3,911kWh/年(1日約10.7kWh)、関東甲信3,600kWh/年(1日約9.9kWh)。令和5年度環境省
容量の決め方「夕方〜翌朝の買電量」と「太陽光の余り」の小さいほうに合わせる本記事
カタログの容量と使える量実際に取り出せるのは「初期実効容量」。カタログの蓄電容量より小さい環境共創イニシアチブ(SII)
価格の目安2024年度の家庭用は本体12.1万円/kWh+工事費1.6万円/kWh(補助事業データの加重平均)経済産業省(委託調査)
東京都の助成新設は10万円/kWh。DR実証に参加しない場合は上限120万円/戸、参加する場合は1件10万円の上乗せ東京都

出典:環境省「家庭でのエネルギー消費量について」(令和5年度家庭部門のCO2排出実態統計調査)/SII「よくあるご質問(蓄電システム登録)」/経済産業省 委託調査報告書「定置用蓄電システム等電力貯蔵システムの普及拡大に向けた調査」(2026年3月31日、三菱総合研究所)/東京都「断熱・太陽光住宅普及拡大事業 補助申請期間等」別紙2(2026年2月18日)(いずれも2026年10月24日確認)。1日あたりの値は年間値を365で割った本記事の計算です。「本記事」とした行は、この記事の本文での整理です。

この記事でわかること

  • 電気の明細から、自分の家に必要な容量を出す3ステップ
  • カタログの「蓄電容量」と、実際に使える「初期実効容量」の違い
  • 容量を大きくしたときに、費用と東京都の助成がどう変わるか
  • 大きすぎ・小さすぎで損をする家庭の条件
目次

「1日の使用量」で容量を決めると大きすぎる

1日の使用量をそのまま容量にすると、多くの家庭で大きすぎます。昼間に使う電気は、太陽光の発電でそのまままかなえるからです。

蓄電池の役割は、昼に余った電気をためて、発電しない夕方から翌朝に使うことです。つまり必要な容量は「1日の使用量」ではなく、「発電していない時間に使う量」で決まります。

考え方基準にする量起きやすいこと
1日の使用量に合わせる昼も夜も含めた全部昼の分まで容量を買うことになり、使い切れない
夜の使用量に合わせる夕方〜翌朝に買っている電気太陽光の余りが少ないと、満充電にならない日が多い
夜の使用量と余りの小さいほう両方を比べて小さいほうためた分を毎日使い切りやすい
太陽光発電がある家庭を前提にした整理です(本記事)

太陽光がない家庭で、電気料金の安い時間帯にためて高い時間帯に使う場合も、考え方は同じです。高い時間帯に使う量を超える容量は、毎日は使い切れません。

必要な容量を出す3ステップ

電気の明細と、電力会社の会員サイトがあれば計算できます。見積もりを取る前に一度やっておくと、業者の提案が大きすぎないか判断できます。

ステップ1|1年分の使用量を確認する

まず1年分の使用量(kWh)を足して、365で割ります。電気の明細か、電力会社の会員サイトで確認できます。

季節で大きく変わるので、1か月だけで判断しないでください。冷暖房を使う夏と冬は、春や秋より使用量が増えるのが一般的です。全国平均は1日約10.7kWh、関東甲信は約9.9kWhなので、自分の家が平均より多いか少ないかの目安になります。

ステップ2|夕方から翌朝に使う量を確認する

次に、太陽光が発電していない時間に買っている電気の量を確認します。スマートメーターの家なら、電力会社の会員サイトで30分ごとや時間帯ごとの使用量を見られる場合があります。

太陽光がある家の場合、明細の「購入電力量(買電量)」の多くは、発電していない時間に使った分です。時間帯別の内訳が見られないときは、この買電量を1日あたりに直して目安にします。

ステップ3|太陽光の余り(売電量)を確認する

最後に、明細の「売電量(余剰電力量)」を1日あたりに直します。これが、毎日蓄電池にためられる量の上限です。

ステップ2とステップ3を比べて、小さいほうが容量の目安になります。売電量は天気と季節で変わるため、冬の少ない月も見ておくと、満充電にならない日がどのくらいあるか見当がつきます。

比べた結果容量の目安理由
夜の使用量 < 太陽光の余り夜の使用量に合わせるそれ以上大きくしても、夜に使い切れない
夜の使用量 > 太陽光の余り太陽光の余りに合わせるそれ以上大きくしても、昼に満充電にならない
太陽光がない高い時間帯に使う量に合わせる安い時間帯の電気をためて使うため
停電への備えを重視する停電中に使う家電と日数から決める容量より定格出力(kW)が重要になる
本記事の整理です。停電対策の計算は別の記事にまとめています

停電への備えを重視する場合は、容量(kWh)より定格出力(kW)で使える家電が決まります。家電ごとの消費電力と、容量別に何日もつかの計算はこちらです。
蓄電池は停電で本当に役立つ?容量kWhより出力kWで決まる16家電の実数

太陽光の電気を停電中に使う切り替え手順と、夜に備える非常用電源の選び方はこちらです。
太陽光は停電で使える?自立運転の切り替え7手順と、家庭の非常用電源の選び方

想定ケース|東京都・4人家族・太陽光5kW・卒FIT

以下は計算の流れを示すための想定ケースです。数字は実在の家庭のものではありません。

項目明細の数字(想定)1日あたり
年間の使用量4,800kWh約13.2kWh
買電量(主に夕方〜翌朝)月210kWh約7kWh
売電量(太陽光の余り)月240kWh約8kWh
1か月を30日として計算しています

1日の使用量は約13.2kWhですが、夜に買っている量は約7kWh、余りは約8kWhです。小さいほうの約7kWhが容量の目安になります。

この家庭が「1日の使用量に合わせて」13kWh台の蓄電池を選ぶと、余りが約8kWhしかないため、晴れた日でも満充電になりません。差の約5kWh分は、毎日使われない容量にお金を払うことになります。

受け取れる補助金は、お住まいの自治体で変わります
該当するほうから、無料で見積もりを取れます。

※東京都は蓄電容量1kWhあたり10万円と全国で最も手厚い制度です。都外の自治体でも独自の補助制度があります。見積もりを取っても契約の義務はありません。

カタログの容量と、実際に使える量は違う

実際に取り出せる量は「初期実効容量」で比べてください。カタログで大きく書かれている「蓄電容量」は、電池そのものの容量です。

SIIは初期実効容量を、製造業者が指定する工場出荷時の蓄電システムが放電するときに供給できる交流側の出力容量、と説明しています。電池の残量をすべて使い切らない設計や、変換のロスがあるため、初期実効容量は蓄電容量より小さくなります。

カタログの表記意味容量選びでの使い方
蓄電容量電池部分にためられる量比較には使わない
初期実効容量出荷時に、家で使える形(交流)で取り出せる量ステップ2・3で出した量と比べる
定格出力同時に流せる電力(kW)停電時に動く家電を決める
出典:SII「よくあるご質問(蓄電システム登録)」をもとに本記事で整理

見積書に容量が1つしか書かれていない場合は、どちらの数字かを業者に確認してください。2つの業者の見積もりで、片方が蓄電容量、片方が初期実効容量で書かれていると、同じ大きさに見えて実際は違うことがあります。

また、電池は使ううちに少しずつ容量が減ります。保証書で「何年後に容量の何%を保証するか」も確認しておくと、10年後に足りなくなるかどうかを判断できます。

容量を大きくすると費用はどう変わるか

家庭用蓄電池は、1kWhあたり本体約12万円と工事費約1.6万円が目安です。経済産業省の委託調査では、2024年度の補助事業データの加重平均で、本体12.1万円/kWh、工事費1.6万円/kWh、合計13.7万円/kWhでした。

容量の区分(2024年度)本体(1kWhあたり)工事費(1kWhあたり)
5kWh未満14.5万円1.4万円
5〜10kWh11.6万円1.7万円
10kWh以上12.2万円1.6万円
平均12.1万円1.6万円
出典:経済産業省 委託調査報告書「定置用蓄電システム等電力貯蔵システムの普及拡大に向けた調査」(2026年3月31日、三菱総合研究所)p.34。補助事業データの案件ごとの単純平均で、海外製セルを含む平均値です

5kWh未満の小さい機種は、1kWhあたりの本体価格が割高です。一方、5kWh以上では大きくしても1kWhあたりの価格はほとんど下がりません。容量を増やすと、増やした分だけほぼそのまま費用が増えると考えてください。

なお、これは補助事業に申請された機器の平均です。補助事業以外の販売価格や、訪問販売の見積もりとは水準が違うことがあります。

東京都の助成は12kWhで頭打ちになる

東京都の助成は、蓄電池の新設で1kWhあたり10万円、DR実証に参加しない場合の上限は1戸120万円です。10万円×12kWhで上限に届くため、DRに参加しない場合、12kWhを超えた分は都の助成が増えません。

区分助成額(令和8年度)条件など
蓄電池システムの新設10万円/kWhDR実証に参加しない場合は上限120万円/戸
既存蓄電池の増設6万円/kWhDR実証に参加しない場合は上限72万円/戸
DR実証参加の上乗せ+10万円/件新設・増設のときにDR実証に参加する場合
IoT機器5万円/台DR実証参加に伴って設置する場合
出典:東京都「断熱・太陽光住宅普及拡大事業 補助申請期間等」別紙2(2026年2月18日発表)。クール・ネット東京の公式サイトは2026年10月22日からメンテナンス中のため、申込前に最新の要件と受付状況を確認してください

下の表は、2024年度の平均単価(13.7万円/kWh)で費用を出し、DRに参加しない場合の都の助成を引いた想定ケースです。実際の助成額は、見積書の助成対象経費や容量の数え方、区市町村の助成によって変わります。

容量(想定)費用の目安都の助成(DR非参加)差し引き
7kWh約96万円70万円約26万円
10kWh約137万円100万円約37万円
12kWh約164万円120万円約44万円
16kWh約219万円120万円(上限)約99万円
費用は13.7万円/kWh×容量で計算した本記事の試算です。区市町村の助成は含めていません

12kWhから16kWhに増やすと、自己負担は約44万円から約99万円へ2倍以上になります。大きい容量を選ぶなら、その分を毎日使い切れるかを、ステップ2・3の数字で確かめてからにしてください。

そもそも蓄電池で電気代の元が取れるかを、1kWhあたりの得から計算した記事はこちらです。
蓄電池はやめたほうがいい?1kWhで得する額を計算|オール電化・太陽光なしの判断基準

東京都の蓄電池の助成の詳しい条件は、こちらにまとめています。
東京都の蓄電池補助金|DR参加で上限120万円が撤廃・10月1日で機種が変わる

神奈川・千葉・埼玉に住んでいる場合の補助は、こちらで県ごとに比べています。
神奈川・千葉・埼玉の蓄電池補助金【2026年11月】県ごとの違いと今の受付状況

容量ごとの費用と工事費の目安は、こちらで計算しています。
蓄電池の価格は容量でいくら?5〜15kWhの費用と工事費の内訳【2026年】

大きすぎ・小さすぎで損をする家庭

容量の失敗は、大きすぎても小さすぎても起きます。当てはまるものがないか確認してください。

起きることなりやすい家庭
大きすぎ満充電にならない、または夜に使い切れず、使わない容量に費用を払う太陽光が小さい/日中も在宅で昼に電気を多く使う/子どもの独立など今後家族が減る
小さすぎ夜の途中で空になり、高い時間帯の電気を買うことになる夜の使用量が多い/太陽光の余りが多い/電気自動車やエコキュートの導入を予定している
本記事の整理です

今後の暮らしの変化も考えておくと失敗が減ります。家族が増える・減る、電気自動車を買う、ガスからオール電化に変えるといった予定があれば、見積もりのときに業者に伝えてください。あとから容量を増やせる機種かどうかも、あわせて確認しておくと安心です。

見積もりで業者に確認する5項目

容量の提案が妥当かは、次の5つを聞けば判断できます。答えを書面でもらうと、複数の業者の見積もりを比べやすくなります。

  1. その容量を選んだ理由:明細の買電量・売電量をもとにしているか
  2. 初期実効容量:見積書の容量が蓄電容量か初期実効容量か
  3. 定格出力(kW)と全負荷・特定負荷:停電時に使える範囲
  4. あとから増設できるか:増設できる機種と、増設の費用
  5. 容量の保証:何年後に容量の何%を保証するか

1番に答えられず「大きいほうが安心です」とだけ勧める業者には注意してください。見積もりを同じ条件で比べる方法は、こちらにまとめています。
太陽光・蓄電池の相見積もりを同条件に揃える6項目|比較シート付き

見積もりをどこに頼むか迷ったら、一括見積もりサイトと専門業者の違いをこちらで比べています。
蓄電池の一括見積もりサイト比較【2026年】東京都の専門業者と全国対応のサービス

受け取れる補助金は、お住まいの自治体で変わります
該当するほうから、無料で見積もりを取れます。

※東京都は蓄電容量1kWhあたり10万円と全国で最も手厚い制度です。都外の自治体でも独自の補助制度があります。見積もりを取っても契約の義務はありません。

よくある質問

4人家族なら何kWhがいいですか

人数だけでは決まりません。同じ4人家族でも、夜に使う電気の量と太陽光の余りは家庭ごとに違うためです。電気の明細で、夕方〜翌朝の買電量と売電量を確認し、小さいほうに合わせるのが確実です。

5kWhでは足りませんか

夜の買電量と太陽光の余りがどちらも5kWh前後以下なら、足ります。ただし経済産業省の委託調査では、5kWh未満の機種は1kWhあたりの本体価格が5kWh以上の機種より高い傾向でした(2024年度)。

大きい容量のほうがお得ですか

毎日使い切れる範囲までならお得になりやすいですが、それを超えると損になります。5kWh以上では1kWhあたりの価格はほとんど下がらず、東京都の助成もDRに参加しない場合は12kWh分(120万円)が上限です。

あとから容量を増やせますか

機種によります。電池ユニットを追加できる機種と、できない機種があります。東京都の助成には既存蓄電池の増設の区分(6万円/kWh)もありますが、新設(10万円/kWh)より単価が低いため、最初の容量選びが大切です。

初期実効容量はどこで確認できますか

メーカーの仕様書のほか、SII(環境共創イニシアチブ)の蓄電システム製品一覧で型番ごとに確認できます。見積書の型番で調べるのが確実です。

太陽光がなくても蓄電池は意味がありますか

電気料金の安い時間帯にためて高い時間帯に使う、停電に備える、という使い方はできます。容量は、高い時間帯に使う量を基準にします。助成を使う場合は、太陽光の有無で対象になるかどうかを、申込前にクール・ネット東京で確認してください。

まとめ

  1. 家庭の電気使用量は全国平均で1日約10.7kWh、関東甲信で約9.9kWh(令和5年度、環境省)
  2. 容量は1日の使用量ではなく、「夕方〜翌朝の買電量」と「太陽光の余り」の小さいほうに合わせる
  3. 比べるのはカタログの蓄電容量ではなく、初期実効容量
  4. 2024年度の家庭用は本体12.1万円/kWh+工事費1.6万円/kWh。5kWh以上では大きくしても単価はほぼ下がらない
  5. 東京都の助成は10万円/kWhで、DRに参加しない場合は120万円(12kWh分)が上限

見積もりを取る前に、電気の明細で買電量と売電量を確認しておいてください。それだけで、業者の提案が自分の家に合っているかを判断できるようになります。

受け取れる補助金は、お住まいの自治体で変わります
該当するほうから、無料で見積もりを取れます。

※東京都は蓄電容量1kWhあたり10万円と全国で最も手厚い制度です。都外の自治体でも独自の補助制度があります。見積もりを取っても契約の義務はありません。

参考にした一次情報
環境省「家庭でのエネルギー消費量について」(令和5年度家庭部門のCO2排出実態統計調査)/一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)「よくあるご質問(蓄電システム登録)」/経済産業省 資源エネルギー庁 委託調査報告書「令和7年度エネルギー需給構造高度化対策調査等事業 定置用蓄電システム等電力貯蔵システムの普及拡大に向けた調査」(2026年3月31日、三菱総合研究所)/東京都「断熱・太陽光住宅普及拡大事業 補助申請期間等」別紙2(2026年2月18日)(いずれも2026年10月24日確認)

※想定ケースの数字は計算の流れを示すためのもので、実在の家庭のものではありません。費用は補助事業データの平均単価からの試算で、実際の見積もりとは異なります。補助金は年度途中で受付を終了する場合があります。

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