卒FIT後に蓄電池は元取れる?回収年数・損益分岐点を数字で徹底解説

卒FIT後は売電単価が大きく下がり、これまでと同じ感覚で売電を続けると「思ったより増えない…」となりがちです。

そこで候補に挙がるのが蓄電池ですが、導入費用が高い分、気になるのはやはり回収できるかどうか。実は、蓄電池が元を取れるかは「買う/買わない」ではなく、条件次第で結果がはっきり分かれます。

この記事では、何年で元が取れるのかを数字で示しながら、元が取れる家庭の特徴後悔しない判断基準を解説します。

目次

そもそも「卒FIT」とは?なぜ元を取る発想になるのか

卒FITとは、太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)で決まっていた「高い売電単価」が、契約から10年で終了することを指します。この10年が終わると、売電は継続できるものの、買取価格は各電力会社の通常メニューに切り替わり、単価が大きく下がります。

卒FIT=「高く売れる期間が終わった」状態
FIT期間中は、20〜40円/kWhなどの高単価で売電できるケースが一般的でした。しかし卒FIT後は、その“優遇”がなくなるため、売電収入の前提が変わります。

売電単価は7〜9円/kWh前後まで下がる
卒FIT後の買取単価は目安として7〜9円/kWh前後まで下がることが多く、同じ発電量でも、以前ほどの売電収入は期待できません。

「売るより使った方が得」になりやすい理由
一方で、家庭で電気を買う単価(電気料金単価)は、売電単価より高いのが通常です。
そのため卒FIT後は、
売る:7〜9円/kWhで手放す
使う:それ以上の単価で買う電気を減らせる
という構図になりやすく、「売るより自家消費に回した方が得では?」という発想が自然に出てきます。この延長線上で注目されるのが、昼に余った電気をためて夜に使える蓄電池です。

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【シミュレーション】蓄電池は何年で元が取れる?

ここでは「卒FIT後に蓄電池を入れたら、何年で回収できるのか?」を、よくある条件でざっくり試算します。
※実際の回収年数は、発電量・電気の使い方・導入価格・補助金の有無で大きく変わります。

前提条件(モデルケース)

今回のシミュレーションは、以下の条件で計算します。

  • 蓄電池容量:10kWh
  • 設置費用:150万円
  • 補助金:30万円
  • 実質負担:120万円

実質負担(万円)=設置費用 − 補助金

ここが回収年数の「分子」になります。

年間メリットの内訳

卒FIT後は売電単価が低いため、余った電気を「売る」よりも「使う(ためて夜に使う)」ことでメリットが出やすくなります。
モデルケースでは、年間のメリットを次のように見積もります。

  • 売電せず自家消費に回す効果:+8〜10万円/年
  • 電気代の削減(買う電気を減らす):+5〜8万円/年
  • 合計メリット:年間13〜18万円

ここでの「年間メリット」は、ざっくり言うと“売らずに自宅で使えた分”+“買わずに済んだ分” の合計です。

回収年数の目安

回収年数はシンプルに、次の割り算で目安が出ます。

回収年数(年)= 実質負担(万円) ÷ 年間メリット(万円)

モデルケース(中央値で試算):
120万円 ÷ 年間15万円 = 約8年(※条件によって前後)

  • 年間メリット13万円なら:約9.2年(120÷13)
  • 年間メリット18万円なら:約6.7年(120÷18)

つまり、ざっくり 約7〜10年程度 が目安になります。

※電気代が上がるほど「買わずに済んだ価値」が増えるため、条件次第では回収が早まる可能性があります。

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ひとこと注意(ここ入れると信頼感UP)

  • これはあくまでモデルケース。実際は見積もり金額の差が回収年数を大きく左右します。
  • また、蓄電池は保証年数・劣化(容量低下)もあるため、「何年で回収」だけでなく 総合的に“損しにくい条件”か で判断するのが安全です。

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H2|卒FIT蓄電池で「元が取れる人」の特徴

蓄電池で「元が取れるか」は、ざっくり言うと “ためて使える電気が多いか”“その電気の価値(電気代)が高いか” で決まります。卒FIT後に蓄電池の回収が進みやすいのは、次の条件に当てはまる家庭です。

昼間の発電量が多い(余剰が出やすい)

日中に発電量が多いほど、家庭で使い切れずに余剰電力が出ます。この余剰を「安く売る」より「蓄電池にためて夜に使う」ほうがメリットが出やすいので、

  • 太陽光容量が大きい
  • 南向き・日当たりが良い
  • 発電の影が少ない

などの条件は、回収年数を短くしやすい要素です。

夜間の電気使用量が多い(家族世帯ほど有利)

蓄電池の恩恵は「夜に買う電気を減らせるか」で大きく変わります。
例えば、家族世帯だと

  • 夕方〜夜に調理・入浴・洗濯で電気を使う
  • 子どもの生活リズムで在宅時間が長い
  • エアコン稼働が長くなりがち

などで、夜間の消費が多く、ためた電気がムダになりにくい=回収が進みやすいです。

補助金を活用できる地域(初期負担が下がる)

回収年数の式はシンプルで、

回収年数=実質負担(導入費−補助金)÷年間メリット

なので、補助金があるだけで“分子”が小さくなり、回収が一気に早まります。同じ機種でも、補助金の有無で回収年数が2〜4年単位で変わることもあります。

電気代が高い(オール電化・エコキュートは相性◎)

「元が取れるか」を左右する最大要因のひとつが、電気を買う単価の高さ。買電単価が高いほど、蓄電池で“買わずに済んだ価値”が大きくなるため、

  • オール電化(IH・エコキュート・暖房など)
  • 使用量が多い家庭(子育て世帯・在宅ワーク)
  • 電気料金プラン的に単価が上がりやすい

こうした家庭は、蓄電池の回収が進みやすい傾向があります。

「余剰が多い × 夜に使う量が多い × 初期負担が下がる × 電気代が高い」ほど、元が取れる確率が上がります。

正直に解説|「元が取れない人」のケース

蓄電池は「入れれば必ず得する」ものではありません。卒FIT後でも、条件によっては回収が進みにくく、“元を取る”目的だと期待外れになりやすいケースがあります。ここは正直に押さえておくと、後悔を減らせます。

単身・共働きで電気使用量が少ない

蓄電池のメリットは、ためた電気を夜にしっかり使って「買う電気を減らす」ことで出ます。でも単身や共働きで不在時間が長いと、そもそも消費量が少なく、

  • ためても使い切れない
  • 余剰が出にくい
  • 年間メリットが小さくなりがち

となり、回収年数が伸びやすいです。

発電量が少ない(屋根条件が悪い)

日中に余剰が出なければ、蓄電池にためる電気自体が少なくなります。例えば、

  • 屋根が北向き・角度が合わない
  • 周囲の建物や木で影が出る
  • 太陽光容量が小さい
  • パネルの劣化で発電が落ちている

こうした条件だと「ためて使う量」が増えず、回収が難しくなります。

補助金なし・高額見積もり

回収年数はこの式で決まります。

回収年数 =(導入費用 − 補助金)÷ 年間メリット

なので、補助金がない&見積もりが高いと、分子が大きくなり一気に不利に。同じ10kWhでも価格差が大きいことがあるため、相見積もりを取らずに即決すると「元が取れない」側に寄ってしまいがちです。

「非常用」目的だけで経済性を期待している

停電対策として蓄電池は心強いですが、非常用価値=安心と、経済性=回収は別物です。「災害に備えたい」こと自体は十分な導入理由になりますが、

  • “元を取る”は副目的になりやすい
  • 回収だけを期待するとギャップが出る

という点は、先に理解しておくと判断がブレません。

電気をためて使う量が少ない/初期費用が高い/目的が“安心”寄りだと、経済的な回収は難しくなりがちです。

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元が取れるかどうかを左右する3つの要素

「卒FIT後に蓄電池で元が取れるか」は、結局のところ ①導入価格(初期負担)②補助金(負担軽減)、そして ③電気代(削減価値) の3つでほぼ決まります。ここを押さえるだけで、“なんとなく不安”から“判断できる状態”に一気に近づきます。

① 蓄電池の価格(見積もり差が大きい)

蓄電池は、同じ容量・同じ性能に近い製品でも、工事費・施工方法・提案内容によって価格が大きく変わります。実際、同じ10kWh前後でも50万円以上差が出ることも珍しくありません。

本体価格だけでなく、工事費・部材・保証内容も含めて比較する
「一式◯◯万円」に何が含まれているか(撤去・配線・分電盤・申請など)を確認する
相見積もりで“相場感”を掴むだけでも、回収年数が大きく変わる

価格は回収年数の「分子」そのもの。ここが高いと、元を取るのは一気に難しくなります。

② 補助金の有無(年度・自治体で違う)

補助金は、回収年数を短縮する“即効性が高い要素”です。
国の制度に加えて自治体が上乗せする場合もあり、条件が合えば 国+自治体で最大60万円超 になるケースもあります。

補助金は年度で変更・終了することがある
申請タイミングや予算枠がある場合も多い
「補助金込みの実質負担」で比較するのが鉄則

補助金は回収年数の「分子」を下げる。入る・入らないで結果が別物になります。

③ 電気代の将来(上昇リスク)

蓄電池のメリットは「買う電気を減らすこと」なので、電気代が高いほどメリットが大きくなります。
つまり、電気代が上がるほど 回収スピードは早まる可能性があります。

卒FIT後は“売電で稼ぐ”より、“買電を減らす”ほうが効きやすい
オール電化・在宅時間が長い家庭ほど、削減メリットが伸びやすい
将来的な料金上昇は読めないが、「上がったときに強い」仕組みになる

電気代は回収年数の「分母(年間メリット)」を押し上げる要素。上がるほど元が取りやすくなります。

価格(初期負担)を抑え、補助金を取り、電気代削減が大きいほど、回収は早くなる。

「元を取る」以外の隠れたメリット

蓄電池を検討するとき、どうしても「回収できるか?」=経済性に目が行きがちです。でも実際は、元を取れる/取れないの境界にいる家庭ほど、“安心”や“満足感”が導入理由の決め手になることも少なくありません。ここでは、数字だけでは測れない“隠れたメリット”を整理します。

停電対策(災害時の安心)

蓄電池があると、停電時でも一定時間、家の電気を使える可能性があります。冷蔵庫・スマホ充電・照明など、生活を維持する最低限の電力が確保できるだけで、安心感はかなり大きいです。

  • 「停電=何もできない」を避けられる
  • 小さな子どもがいる家庭ほど心理的メリットが大きい
  • 在宅ワーク家庭もリスク低減につながる

経済性でギリギリでも、「災害時の安心」を価値として見込めるなら、納得感が上がります。

電力会社への依存低下

卒FIT後は、売電単価が低い一方で、電気代は上がり下がりの影響を受けやすい状況です。蓄電池があると、太陽光で作った電気を自宅で回しやすくなり、買う電気の割合を減らすことができます。

  • 料金改定や値上げの影響を受けにくくなる
  • 「電気を自分でコントロールできる」感覚が得られる
  • 太陽光の価値を“売電”から“自家消費”へ切り替えやすい

H3|太陽光を「無駄なく使える」満足感

卒FIT後は、余った電気を売っても単価が低いため、「せっかく発電しているのに…」とモヤモヤしやすいです。蓄電池があると、昼に余った電気をためて夜に使えるため、“自分の家の電気を自分で回している”実感が持てます。

  • 余剰電力を「捨てている感」「安く手放している感」が減る
  • 発電量が多い家庭ほど満足度が上がりやすい
  • “もったいない”が減ることで納得して使い続けられる

ポイント(経済性+安心)

蓄電池は「元を取るだけ」で判断すると、家庭によっては結論が割れます。
一方で、経済性(電気代削減)+安心(停電対策)+満足感(自家消費)をセットで考えると、導入の納得感はぐっと上がります。

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H2|よくある質問(FAQ)

蓄電池は10年で壊れない?

「10年=寿命」ではありません。
多くの家庭用蓄電池は10〜15年のメーカー保証が付いており、条件を満たせば期間内の不具合は保証対象になります。実際の使用期間は使い方や設置環境にもよりますが、保証期間を超えて使われるケースも多いです。
ただし、長く使うほど容量は少しずつ低下(劣化)するため、「買い替え前提の年数」と「どこまで性能を期待するか」は切り分けて考えるのがおすすめです。

売電を続けた方が得では?

卒FIT後は売電単価が7〜9円/kWh前後まで下がることが多く、売って得る金額より、買う電気を減らす価値の方が大きいケースが増えます。
特に、夜の電気使用が多い家庭では「昼に発電→ためて→夜に使う」ことで、売電よりもメリットが出やすくなります。
とはいえ、家庭の電気使用量や太陽光の発電状況によって逆もあり得るので、まずは試算が確実です。

今すぐ導入すべき?

「補助金」と「見積もり次第」です。
補助金が使える年・自治体なら回収が早まりやすい一方、導入価格が高いと回収は伸びます。
迷ったら、いきなり購入判断ではなく、

  • 補助金の対象か確認
  • 2〜3社で相見積もり
  • 自宅条件(発電量・使用量)で回収試算

この3ステップだけ先にやると、後悔しにくくなります。

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