太陽光発電の見積もりで最初に見る場所|売電24円は最初の4年だけ

更新日:2026年9月7日/一次情報の確認日:2026年9月7日

太陽光発電の見積書を受け取ったとき、多くの人がまず総額を見ます。

そこではありません。最初に確認すべきは、添付されている売電シミュレーションの前提です。

2025年度下期から、住宅用太陽光の売電価格の仕組みが変わりました。最初の4年間が24円/kWh、5年目から10年目は8.3円/kWhという2段階方式です。ところが「売電24円」だけを見て10年分を計算したシミュレーションが出回っています。

5kWの設置で試算すると、この誤りだけで約36万円の差が出ます。

この記事では、見積書の数字を自分で検算する手順を、公的データをもとに整理します。

受け取れる補助金は、お住まいの自治体で変わります
該当するほうから、無料で見積もりを取れます。

※東京都は蓄電容量1kWhあたり10万円と全国で最も手厚い制度です。都外の自治体でも独自の補助制度があります。見積もりを取っても契約の義務はありません。

目次

売電24円は最初の4年だけ|10年平均は14.58円

資源エネルギー庁の資料には、こう書かれています。2025年度下期以降、投資回収の早期化を図る初期投資支援スキームを採用し、住宅用太陽光は24円(〜4年)、8.3円(5〜10年)。

重要なのは、この資料に「国民負担には中立的な形で」と明記されている点です。買取総額が増えたわけではありません。支払うタイミングを前倒ししただけです。

10年間の平均単価を計算する

実際に割り算してみます。

1〜4年目24円/kWh × 4年96
5〜10年目8.3円/kWh × 6年49.8
10年平均(96+49.8) ÷ 1014.58円/kWh
出典:資源エネルギー庁「太陽光発電について」(2026年1月/調達価格等算定委員会 資料1)をもとに算出

14.58円。2025年度上期までの固定単価15円/kWhを、わずかに下回ります。

「売電価格が15円から24円に上がりました」という説明は、前半だけを切り取ったものです。10年で見れば上がっていません。

見積書のシミュレーションを検算する

5kWのシステムで、年間発電量5,500kWh、そのうち売電が3,850kWh(自家消費率30%)という前提で比べます。

計算10年間の売電収入
誤り:24円×10年3,850 × 24 × 10約92.4万円
正しい:24円×4年+8.3円×6年3,850×24×4 + 3,850×8.3×6約56.1万円
差額約36.3万円
試算値です。発電量・自家消費率・地域により変動します

36万円は、回収年数にすると2〜3年分に相当します。見積書のシミュレーションで、5年目以降の単価が8.3円に切り替わっているかを確認してください。

業者に聞くべき一言
「このシミュレーションの売電単価は、5年目以降いくらで計算していますか」

即答できない、あるいは10年間一律で計算しているなら、その試算は作り直してもらう必要があります。

総額が相場かどうかはkW単価で見る

次に金額です。経済産業省の調達価格等算定委員会がまとめた、2025年に設置された住宅用太陽光の実績値があります。

全国平均のkW単価
新築住宅への設置28.9万円/kW
既築住宅への設置30.1万円/kW
出典:経済産業省「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(2026年2月5日公表)

既築のほうが1.2万円/kW高くなっています。理由は屋根です。新築なら設計段階からパネルの配置に合わせられますが、既築は既存の屋根形状に合わせるしかなく、追加の部材や工事が発生します。

容量別の総額目安

容量新築(28.9万円/kW)既築(30.1万円/kW)
3.0kW約87万円約90万円
4.0kW約116万円約120万円
5.0kW約145万円約151万円
6.0kW約173万円約181万円
8.0kW約231万円約241万円
パネル・パワコン・架台・工事費を含む総額の目安。補助金適用前の金額です

手元の見積書の総額を容量で割って、この表と比べてください。5kWで200万円を超えているなら、相場の1.3倍以上です。

なお2022年まで下落が続いていた設置費用は、2023年以降は資材価格や人件費の高騰、為替の影響で緩やかに上昇しています。「待てば安くなる」という前提は、現時点では成り立っていません。

発電量の想定が妥当か、自分で検算する

売電単価と並んで、シミュレーションを膨らませやすいのが発電量です。

1kWあたり年間1,000〜1,200kWhが目安

住宅用太陽光の年間発電量は、設置1kWあたりおおむね1,000〜1,200kWhとされます。5kWなら年間5,000〜6,000kWh。

この幅は、日射量と設置条件で決まります。

条件発電量への影響
屋根の方位真南を100とすると、南東・南西で約96、東西で約85前後
屋根の傾斜30度前後が最も効率がよい。緩すぎても急すぎても落ちる
隣家・電柱・アンテナ。一部でも影がかかると出力が大きく落ちる
パネルの温度夏は高温で効率が下がる。真夏がピークではない
汚れ・経年劣化年0.5%程度ずつ出力が低下する
一般的な傾向です。実際の数値は製品と現地条件で変わります

見積書の年間発電量を容量で割って、1kWあたり1,200kWhを大きく超えていたら根拠を聞いてください。東西向きの屋根や、影のかかる立地でその数字が出ることはありません。

経年劣化が織り込まれているか

パネルの出力は年々わずかに落ちます。10年後も初年度と同じ発電量で計算しているシミュレーションは、その分だけ楽観的です。

「1年目の発電量」と「10年目の発電量」を分けて出してもらうと、前提が見えます。

受け取れる補助金は、お住まいの自治体で変わります
該当するほうから、無料で見積もりを取れます。

※東京都は蓄電容量1kWhあたり10万円と全国で最も手厚い制度です。都外の自治体でも独自の補助制度があります。見積もりを取っても契約の義務はありません。

なお、この28.9万円/kWの内訳と、何年で回収できるかは太陽光発電の費用相場と回収年数|補助金なし16年・あり8年の正直計算にまとめています。蓄電池も同時に検討しているなら太陽光+蓄電池セットの費用もあわせてご覧ください。

太陽光の見積もりは、屋根で決まる

蓄電池の見積もりと決定的に違うのがここです。蓄電池は置き場所さえあれば機種と容量でほぼ決まりますが、太陽光は屋根の条件が金額を左右します。

屋根材で工法と費用が変わる

屋根材設置のしやすさ
スレート(カラーベスト)最も一般的。標準的な工法で対応できる
金属屋根(立平・横葺)穴を開けずに固定できる工法があり、防水リスクが低い
瓦(和瓦・洋瓦)瓦を加工する必要があり、費用が上がる傾向
アスファルトシングルメーカーによっては対応不可の場合がある

見積書に屋根材の記載がない場合、現地調査が済んでいない可能性があります。屋根に上がらずに出された見積もりは、あとから追加費用が発生しやすい。

築年数が20年を超えているなら

太陽光パネルの想定使用年数は20年以上あります。一方でスレート屋根の塗装や葺き替えの周期は、それより短い。

つまりパネルを載せた数年後に屋根の補修時期が来ると、パネルを一度外して再設置する費用がかかります。この脱着費用は、数十万円規模になることがあります。

築20年以上の住宅なら、屋根の葺き替えと太陽光設置を同時に行うほうが合理的な場合があります。足場代を1回で済ませられるのも大きい。見積もりを取る段階で、屋根の状態も一緒に見てもらってください。

足場代は見積書に入っているか

屋根の高さと形状によっては足場が必要です。この費用が「別途」になっていると、契約後に加算されます。

総額表示の見積書でも、足場代が含まれているかは明示的に確認してください。蓄電池の見積もりにはない項目なので、見落としやすい部分です。

見積書に必ず記載してもらう10項目

  1. パネルのメーカー名と型番、枚数、1枚あたりの出力
  2. システム容量(kW)と、その計算根拠
  3. パワーコンディショナの型番と容量。将来の蓄電池追加を考えるならハイブリッド型かどうかも
  4. 架台の種類と、屋根材に応じた工法
  5. 足場代(含む/別途を明記)
  6. 電気工事費(分電盤改修、配線、系統連系申請の代行費)
  7. 諸経費・現場管理費の内訳
  8. 年間発電量の想定と、その算出条件(方位・傾斜・影の有無)
  9. 売電単価の前提(1〜4年目と5〜10年目を分けて記載)
  10. 保証内容(製品保証・出力保証・施工保証・自然災害補償の年数と範囲)

「太陽光発電システム一式」としか書かれていない見積書は、他社と比較できません。この10項目が揃って初めて、相見積もりが成立します。

相見積もりを「同じ条件」に揃える

3社から見積もりを取っても、条件が違えば比較になりません。金額差の理由が、値引きなのか仕様の差なのか分からなくなります。

揃えるべきは次の5点です。

揃える項目揃えないとどうなるか
システム容量(kW)容量が違えば金額が違って当然。比較の意味がなくなる
パネルのメーカーメーカーで単価も保証も変わる
足場の有無片方だけ別途扱いだと、総額が数十万円ずれる
保証年数15年と25年では価格差が出て当然
税込/税抜と補助金の扱い補助金適用後の額を示す社と、適用前を示す社が混在する

最も混乱しやすいのが最後です。補助金は行政から交付されるもので、業者の値引きではありません。どの会社から買っても同じ額が受け取れます。比較は必ず、補助金を差し引く前の販売価格で行ってください。

すでに1社から見積もりを受け取っているなら、その型番と容量をそのまま他社に伝えるのが最短です。「この型番・この容量で御社ならいくらですか」と聞けば、条件を揃えた比較が一度で成立します。

よくある質問

売電価格は24円ではないのですか

24円が適用されるのは最初の4年間だけです。5年目から10年目は8.3円/kWhになります。10年間の平均は14.58円/kWhで、2025年度上期までの固定単価15円をわずかに下回ります。買取総額が増えたのではなく、支払いのタイミングが前倒しされた制度です。

太陽光の見積もりの相場はいくらですか

2025年設置の全国平均で、新築が28.9万円/kW、既築が30.1万円/kWです。5kWなら新築で約145万円、既築で約151万円が目安になります。総額を容量で割って比べてください。

年間発電量の想定が妥当か判断できますか

1kWあたり年間1,000〜1,200kWhが目安です。見積書の年間発電量を容量で割って、1,200kWhを大きく超えていたら根拠を確認してください。東西向きの屋根や影のかかる立地では、この水準に届きません。

見積もりは何社から取るべきですか

3社程度が現実的です。ただし数より条件を揃えることが重要で、容量・メーカー・足場の有無・保証年数・税と補助金の扱いが揃っていない比較は意味を持ちません。

現地調査なしで見積もりが出ました

概算としては成立しますが、契約前には必ず現地調査を受けてください。屋根材・傾斜・影の状況・分電盤の位置は、現地でしか確認できません。調査なしの見積もりは、着工後の追加費用につながりやすくなります。

築年数が古い家でも設置できますか

屋根の状態によります。築20年以上でスレート屋根の場合、パネル設置後に屋根の補修時期が来ると、脱着費用が別途かかります。葺き替えと同時に行えば足場代を1回で済ませられるため、屋根の状態も含めて相談してください。

足場代は含まれていますか

見積書によります。「別途」になっている場合、契約後に加算されます。総額表示であっても、足場代が含まれているかを明示的に確認してください。

今は買い時ですか

設置費用は2022年まで下落していましたが、2023年以降は資材価格や人件費の高騰により緩やかに上昇しています。「待てば安くなる」という前提は、現時点では成り立っていません。ただし補助金の状況は自治体ごとに異なるため、金額だけで判断せず、お住まいの制度も確認してください。

まとめ

  1. 売電24円は最初の4年だけ。5年目以降は8.3円。10年平均は14.58円
  2. 10年一律24円で計算されたシミュレーションは、5kWで約36万円の過大
  3. 総額はkW単価で判定する。新築28.9万円/kW、既築30.1万円/kW
  4. 年間発電量は1kWあたり1,000〜1,200kWhが目安
  5. 足場代が含まれているかを明示的に確認する
  6. 築20年以上なら、屋根の補修時期と脱着費用を計算に入れる
  7. 相見積もりは、容量・メーカー・足場・保証・税と補助金の扱いを揃える

見積書で最初に見るのは総額ではありません。5年目以降の売電単価が8.3円になっているか。そこだけ確認すれば、その業者の試算が誠実かどうかが分かります。

受け取れる補助金は、お住まいの自治体で変わります
該当するほうから、無料で見積もりを取れます。

※東京都は蓄電容量1kWhあたり10万円と全国で最も手厚い制度です。都外の自治体でも独自の補助制度があります。見積もりを取っても契約の義務はありません。

参考にした一次情報
資源エネルギー庁「太陽光発電について」(2026年1月/調達価格等算定委員会 資料1)/経済産業省「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(2026年2月5日公表)

※発電量・売電収入は一般的な数値からの試算です。設置条件・地域・天候により変動します。売電単価および制度内容は変更される場合があります。契約前に必ず最新の制度をご確認ください。

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